ランサムウェア対策、最初にやる5つのこと — IT担当がいない会社のために
この記事のポイント
- 侵入経路は、VPN機器とリモートデスクトップで約9割を占めます(警察庁の調査)。まず外から入れる入口の更新から始めてください
- パスワードが破られても入れないよう、リモートアクセスと管理者アカウントに多要素認証を設定します
- バックアップは、ネットワークから切り離した保存先にも置き、実際に戻せるかテストして初めて「備え」になります
- 感染したときの初動(ネットワークから切り離す、電源は切らない、連絡先は紙で用意)は、事前に決めておくことです
ランサムウェア対策の情報は大量にありますが、IT担当がいない会社では「全部はできない」が本音です。このガイドでは、被害の実態(侵入経路の統計)から逆算して、最初にやるべき5つだけを、やる順番で説明します。
なぜ「順番」が大切なのか
警察庁の報告では、2025年に報告されたランサムウェア被害は226件、そのうち中小企業が143件でした。被害企業へのアンケート(有効回答92件)で侵入経路をたどると、VPN機器を利用された事例が61件(66.3%)、リモートデスクトップが19件(20.7%)で、合わせて約9割を占めます。
つまり、攻撃者は多くの場合、難しい方法ではなく「外から入れる入口」の弱点を突いて入ってきます。対策の順番は、この実態に合わせて決めるのが効率的です。
ポイント1:外から入れる入口を確認し、更新する
最初に、会社の外から社内に入れる入口を洗い出してください。VPN機器、リモートデスクトップ、リモート操作ツールなどが該当します。
- VPN機器やルーターのファームウェア(機器自体のソフトウェア)を最新にする
- もう使っていないリモート接続は、止める・削除する
- サポートが終了した古い機器は、更新自体ができないため、入れ替えを検討する
入口が分からない場合は、「テレワークで家のパソコンから会社に入れるか」を思い出すと洗い出しやすくなります。
ポイント2:鍵を二重にする(多要素認証)
入口のパスワードが破られても入れないように、多要素認証を設定します。優先順位は、VPN・リモートデスクトップの管理者アカウント、メール、クラウドサービスの管理者です。
パスワード自体も、使い回しをやめ、推測されにくいものに変えてください。詳しくはガイド「パスワードの使い回しをやめる — 最初の一歩」で説明しています。
ポイント3:更新を自動にする
OSとアプリの更新は、攻撃の入口をふさぐ基本作業です。IPAの「情報セキュリティ5か条」の第1条も「OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう」です。
- OS・ブラウザ・業務アプリの自動更新を有効にする
- ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルが自動で更新される設定にする(5か条の第2条)
- 月に一度など、更新がたまっていないか確認する日を決める
ポイント4:バックアップは「戻せる」状態で用意する
ランサムウェアは、社内のバックアップごと暗号化することがあります。データを取り戻せる形にしておくことが大切です。
- 大切なデータは3つ持ち、2種類の保存先に置き、1つはネットワークから切り離す(3-2-1の考え方)
- 切り離した保存先(外付けHDDなど)は、バックアップのときだけ接続する
- 実際に戻せるか、テストで確認する(取っただけでは不十分です)
自社の場合はどうなるかは、無料の「バックアップ 3-2-1 設計シミュレーター」で試算できます。
ポイント5:感染したときの初動を決めておく
被害に遭った直後は、判断する時間がありません。事前に次だけは決めておいてください。
- 感染した疑いのあるパソコンは、ネットワークから切り離す(LANケーブルを抜く、Wi-Fiを切る)。電源は切らず、そのままにする
- 連絡先を紙に書いておく:経営者、取引先のIT担当、警察のサイバー犯罪相談窓口、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口
- 身代金(金銭)の要求には応じない。支払ってもデータが戻る保証はなく、警察庁・IPAも支払わないよう呼びかけています
まとめ:今日のチェックリスト
- 外から入れる入口(VPN・リモート接続)を一覧にし、機器の更新を確認した
- 管理者アカウントとリモートアクセスに多要素認証を設定した
- OS・アプリ・ウイルス対策ソフトの自動更新を有効にした
- バックアップを3-2-1の形にし、復元のテストをした
- 初動の連絡先リストを紙で用意した
25の質問で自社の現状を確認できます。ブラウザ内だけで処理します。
理解度チェック
タップして答えを選んでください。結果は保存・送信されません。
Q1. 警察庁の調査で、ランサムウェアの侵入経路として最も多かったのはどれですか
答えと解説を見る
有効回答92件のうち、VPN機器が61件(66.3%)、リモートデスクトップが19件(20.7%)で、合わせて約9割でした。
Q2. バックアップの「3-2-1」で、ネットワークから切り離すコピーは何のためですか
答えと解説を見る
ネットワークにつながったバックアップは、本体と一緒に暗号化されることがあります。切り離したコピーが残れば、そこから戻せます。
Q3. 感染の疑いがあるパソコンを見つけたら、最初にすることはどれですか
答えと解説を見る
ネットワークから切り離して被害の拡大を止めます。電源を切ると調査に必要な記録が消えることがあるため、そのままにします。身代金の支払いは推奨されません。